入善沖の海底林

調査の様子
1.海底林の発見
昭和55年5月4日、吉原沖の海底に高さ50センチメートルぐらいの円錐形をした「立ち木」が何本も出ているのを「北陸スキンダイビングクラブ」の人たちが発見。
よい漁場であるため、漁師たちは以前からその場に何かがあることを感づいていたらしい…。
2.海底林の調査
本格調査は、発見の翌年から開始。
- 陸上では、岸に定められた2地点から常に調査船の位置を確認。
- 調査船では、研究者たちが無線で岸と連絡をとりながら、水中カメラの映し出す映像を見てダイバーに指示。
- ダイバーは、研究者の指示に従って調査、採集、撮影。
という連係プレイで調査は行われました。
樹根は海面下20メートルから40メートルぐらいまで、特に海底の谷になったところから多く発見されました。これらの樹根にはラベルがつけられ、樹根の一部や樹根をうめていた泥・砂・礫などが研究のために採集されました。
3.海底林に付着している小動物
海底林を引き上げた際、材に付着、若しくは穿孔していた小動物のごく一部が採集されました。20~40メートルくらいの深さのしかも材に着いている動物は今までほとんど調べられたことがありませんでした。以下は昭和56年8月8、9日に引き上げられた海底林から採集された動物のリストです。
触手動物,コケムシの一種(生息していた痕跡だけ)
軟体動物,ムシロガイ・オキナマツカゼガイ・カモメガイモドキ
環形動物,フサゴガイの一種・エゾカサネカンザシ
節足動物,トヤマスナホリムシ(スナホリムシ新種)・トウヨウコシオリエビ・サマハダオウキガニ・ケブカアワツガニ・ヒメシワオウキガニ・ヒメケブカガニ・エンコウガニ科の一種
4.木の生きていた年代と種類
木の生きていた年代は、深さによって異なり、海面下40メートルでほぼ1万年前、海面下20メートルではほぼ8千年前であることが分かりました。
このことは、いろんな高さのところに生えていた林が、一度に埋まったのではなく、それぞれの深さによって違った時代に埋まったことを示しています。そしてそれは、少なくとも2千年以上かかって繰り返し、繰り返し埋められたものだということが分かります。
ハンノキ36本、ヤナギ11本、ヤマグワ1本、アオハダ3本、カエデ2本、コナラ1本が確認されています。
海底林の樹根は、沢スギ自然館でご覧になれます。
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更新日:2021年02月01日